戻された時計の針
すべてが終わった今日
腕時計の針を5分戻した
この仕事を始めてから
5分早めていた針を
今日 元に戻した
10年ぶりの失業
不安もたくさん
なのになぜだろう
すべてが終わった
この瞬間
逆に安堵をおぼえる
何を考えるでもなく
明日を考えるでもなく
ただぼんやりと過ごす
人を観察する
周りの音を楽しむ
なんとも心地がいい
失って気づくもの それは
失われていたものかもしれない
それはどういうことか
何も失っていないということ
心の持ちようで 常に
何かを得られるということ
生きているということ自体が
至上の贅沢なのかもしれない
だって人生はこんな風に
いかようにも楽しめるのだから