GivingTreeの雑記帳 [はてな版]

seeking for my another sky─それは、この世界そのものだと気付いた

脱原発:独ZDFテレビ『フクシマの嘘』書き起こし改訳・校正(前編のみ)

@kingo999 さんよる書き起こしテキストの改訳・校正


独ZDFテレビ『フクシマの嘘』登場人物一覧(登場順)
名嘉幸照氏東北エンタープライズ社長)
菅 直人氏(元首相)
ケイ・スガオカ氏(元GE点検主任)
佐藤栄作久氏(元福島県知事)
河野太郎氏自民党衆議院議員
松本純一氏(東電原子力・立地本部長代理)
島村英紀氏(地球物理学者・武蔵野学院大学特任教授)
白井 功氏(東電福島事務所・福島県災害対策本部技術・広報担当)
ナレーター:
我々は放射能から身を守り、警察から外人と見破られないよう防護服を着こんだ。
汚染され、破壊された原発が立っているのは立ち入り禁止区域だ。
そこに連れて行ってくれることになっている男性と落ち合った。
なにが本当にそこで起きているか、彼に見せてもらうためだ。

名嘉幸照(なかゆきてる)氏は原子力分野のエンジニア会社の社長で
もう何十年間も原発サイトに出向いて働いてきた。福島でも、だ。

私たちは見破られることなく、無事チェックポイントを通過した。
作業員たちが作業を終え、原発から戻ってきたところだった。

3月11日に起こったことは、これから日本が遭遇するかもしれぬことの
前兆に過ぎないのかもしれないことが次第にわかってきた。

そしてその危険を理解するには、まず過去を理解する必要がある。

(タイトル) フクシマの嘘
(監督) ヨハネス・ハーノZDF記者

ナレーター:
私たちは立ち入り禁止区域の中、事故の起きた原発から約7キロ離れたところにいる。

名嘉氏はここで生活をし、福島第一と福島第二を股にかけて仕事をしてきた。名嘉氏と彼の部下は、何年も前から原発の安全性における重大な欠陥について注意を喚起してきた。しかし、誰も耳を貸そうとしなかった。

名嘉社長:私の話を聞いてくれた人はほんのわずかな有識者だけで
その人たちの言うことなど誰も本気にしません。
日本には、強い影響力を持つある集団が存在します。
原子力ムラ」といわれるものです。彼らの哲学は、経済性優先です。
この「原子力ムラ」は東電、政府、そして大学の学者たちからなります。
重要な決定は彼らがすべて下すのです。

ナレーター:
私たちは東京で菅直人と独占インタビューした。
彼は事故当時首相で、第二次世界大戦以来
初の危機に遭遇した日本をリードしなければならなかった。

彼は唖然とするような内容を次々に語った、たとえば
首相の彼にさえ事実を知らせなかったネットワークが存在することを。
マスメディアでは彼に対する嘘がばらまかれ、辞任に追い込まれた。
原子力ムラに対抗しようとしたからである。

菅元首相:最大の問題点は、3月11日が起こるずっと前にしておかなければいけないことがあったのに、何もしなかったことです。原発事故を起こした引き金は津波だったかもしれないが、当然しておくべき対策をしなかったことが問題なのです。この過失は責任者にあります。つまり、必要であったことをしなかった、という責任です。

ナレーター:
では原発事故の原因は地震津波ではなかったのか?
原子力ムラ」の足跡を辿っていくと、嘘や仲間意識によって
固められた犯罪的エネルギーに満ちた網の目に遭遇する。

調査は2つの大陸にまたがった。
まずカリフォルニアに飛んだ。
目的地はサン・フランシスコである。

私たちはある男性と話を聞く約束をしていた。
彼は長年原子炉のメンテナンスの仕事で
福島にも何度も来ており
かなり深刻なミスや事故を東電が隠蔽する現場に遭遇した。

福島の第1号原子炉は70年代初めに
アメリカのジェネラルエレクトリック社が建設し
それ以来アメリカのエンジニアが点検を行ってきた。
そして福島原発には何度も問題があった。

ハーノ記者:東電は、点検後、あなたに何を求めたのですか?

スガオカ氏:亀裂を発見した後、彼らが私に言いたかったことは単純です。
つまり「黙れ」ですよ。「何も話すな、黙ってろ」というわけです。

ナレーター:
問題があるなど許されない
日本の原発に問題など想定されていない
アメリカのエンジニア、ケイ・スガオカ氏も
それを変えようとすることは許されなかった。

スガオカ氏:1989年のことです、蒸気乾燥機についてビデオ点検をしていて
そこで今まで見たこともないほど大きい亀裂を発見しました。

ナレーター:
スガオカ氏と同僚が発見したのは、それだけではない。

スガオカ氏:原子炉を点検している同僚の目がみるみる大きくなったと思うと、彼がこう言いました。「蒸気乾燥機の向きが正反対に取り付けられているぞ」と。

ナレーター:
もともとこの原発の中心部材には重大な欠陥があったのだ。
スガオカ氏は点検の主任だったので
正しく点検を行い処理をする責任があったのだが
東電は、彼の報告が気に入らなかった。

スガオカ氏:私たちは点検で亀裂を発見しましたが、東電は
私たちにビデオのその部分を消すよう注文しました。
報告書も書くな、と言うのです。
私はサインしかさせてもらえませんでした。
私が報告書を書けば、180度反対に付けられている蒸気乾燥機のことも
報告するに決まっていると知っていたからです。

ハーノ記者:では、彼らは嘘の文書を書くよう求めたわけですか?

スガオカ氏:そうです、文書の改ざんを要求されたのです。

ナレーター:
スガオカ氏は仕事を失うのを怖れて、10年間黙秘した。
GE社に解雇されて初めて彼は沈黙を破り
日本の担当官庁に告発した。
ところが不思議なことに、告発後何年間もなにも起こらなかった。
日本の原発監督官庁はそれをもみ消そうとしたのだ。

2001年になってやっと、スガオカ氏は「同志」を見つけた。
それも日本の福島で、である。

18年間福島県知事を務めた佐藤栄佐久氏は
当時日本の与党だった保守的な自民党所属だ。
佐藤氏は古典的政治家で
皇太子夫妻の旅に随行したこともある。

始めは彼も、原発は住民になんの危険ももたらさないと確信していた。
だがその信頼は徐々になくなっていった。

(つづく)


※ヤフーは文字数制限があるので全文掲載できませんでした。続きはコチラで。