Twitlog:読書メモ 『日本を棄てた日本人』(草思社)を読んで〔後編〕3
H夫妻(夫O氏四十代後半、男性)の場合
最近亡くなった「クレージーキャッツ」時代の谷啓に似ている夫のO氏は、京都大学の出身で、卒業後は大手自動車会社に就職し、その後34歳の時にこの会社のロス支店に転勤となった4年後の38の時に退職し、アメリカで独自の商売をはじめたという。
退職するまでは典型的なエリートコースを歩んだ。
退職するまでは典型的なエリートコースを歩んだ。
しかしO氏は高校1年のときにAFS(アメリカン・フレンズ奉仕団)の支援で1年間のアメリカ留学を経験して、「多感な時期に、個人はいかにして他人とは違う」という教育を受けたためか、会社という組織の中で働くことを常に息苦しいと感じ、いつかは独立して自分の商売を始めたいと思っていた。
これは正味六年間のアメリカ留学経験のある俺にもよく分かる。とくにO氏の次の経験は、奇しくも俺が中小の自動車部品会社で経験したものと同じだった。
これは正味六年間のアメリカ留学経験のある俺にもよく分かる。とくにO氏の次の経験は、奇しくも俺が中小の自動車部品会社で経験したものと同じだった。
「自動車会社に入社したとき、新入社員が一堂に集められて整列させられたんですよ。まさか会社に入ってまで整列させられるとは思ってなかったから、これはショックでしたね」
俺も大学卒業後、帰国した自動車部品会社の工場とデスクワークの両方で、同じ経験をした。取材当時O氏がアメリカに渡って10年ということは、彼が新入社員だったのは80年代初期。俺が新入社員だったのは95年だから15年の開きがあるのに、同じことを経験しショックを覚えた。
それは、朝の朝礼とラジオ体操・・・。
ただ整列させられるだけでは済まなかった。まるで時計仕掛けのように、規則正しくこの奇妙な日課をこなした。これは日本の製造業ではいまも当たり前のことかもしれないが、やっぱり滑稽に思えた。
ところが、この規則正しい「日課」が日本企業の海外工場でも行われていて、しかも効果があるというのだから侮れない。日本の行きすぎた管理教育は、日本の高い製品クオリティを実現するのに役立っているようだ。
日本の経営手法がまだ海外に定着していない当時、O氏には知る由がなかったかもしれない。
話を元に戻そう。
それは、朝の朝礼とラジオ体操・・・。
ただ整列させられるだけでは済まなかった。まるで時計仕掛けのように、規則正しくこの奇妙な日課をこなした。これは日本の製造業ではいまも当たり前のことかもしれないが、やっぱり滑稽に思えた。
ところが、この規則正しい「日課」が日本企業の海外工場でも行われていて、しかも効果があるというのだから侮れない。日本の行きすぎた管理教育は、日本の高い製品クオリティを実現するのに役立っているようだ。
日本の経営手法がまだ海外に定着していない当時、O氏には知る由がなかったかもしれない。
話を元に戻そう。
日本の企業社会の現実に暗澹とした思いに駈られたO氏は、この時すでに独立して自分のビジネスを興す夢を抱いていた。そして、すぐに行動に移した。会社の仕事を終えて帰宅した後、副業として自営業を試みた。化粧品販売や魚の仕入れ代行、マッサージ器のリース、なんでもやった。
妻のT夫人曰く、「それでいて、会社のほうはそれなりにがんばっていたんですから、私からみればもう病気でした」というくらい商売に取り憑かれていたという。しかしそんな無理をしているうちにロス支店への転勤命令が下り、夫人は胸をなで下ろした。ところが、ロスに着いて2年も経たないうちにまたその「病気」が再発する。
こういう人が、ロスに馴染むのかもしれない。
妻のT夫人曰く、「それでいて、会社のほうはそれなりにがんばっていたんですから、私からみればもう病気でした」というくらい商売に取り憑かれていたという。しかしそんな無理をしているうちにロス支店への転勤命令が下り、夫人は胸をなで下ろした。ところが、ロスに着いて2年も経たないうちにまたその「病気」が再発する。
こういう人が、ロスに馴染むのかもしれない。
(まだ途中です)
(実はリアルタイムでツイート進行中)