GivingTreeの雑記帳 [はてな版]

seeking for my another sky─それは、この世界そのものだと気付いた

国防:米軍需産業の増益に貢献する日本のMD導入

ハネウエル4-6月期は73%増益、通期1株利益予想を上方修正
売上高は、前年同期の70億3000万ドルから12%増の79億ドルとなった。航空宇宙部門は1%増、自動化・管理部門は16%増、特殊素材部門は58%増。一方、輸送システム部門は横ばいだった。個人消費の落ち込みや、2005年に北米の摩擦材料事業から撤退したことなどが要因。
(ダウジョーンズ)

米軍需に貢献する日本のMD導入

わずか二カ月の間の73%増という驚異的な増益のうち、同社のコートCEOはその最大の要因はフリーキャッシュフロー(純現金収支)の大幅増だとしている。しかしその増益の一端を為す売上高12%のうち、特殊素材部門が58%増しになっている要因には、アメリカ本土で最近実験が成功した新型ミサイルだけでなく、日本に最近配備が決まったPAC3の関連部品や、来年配備する予定のSM3関連部品の受注による貢献も少なくはないだろう。

クリントン政権下で始まった次期支援戦闘機F-2(三菱)の日米共同開発では、アメリカに開発の主導権を握られ純国産化は実現しなかった。MDの共同開発においても、PAC3やSM3などアメリカの圧倒的なミサイル技術によって完成された製品に対し日本は弾頭のノーズコーンやアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダー技術、赤外線シーカー部の提供などで、日本独自のBMD(弾道ミサイル防衛システム)構想への貢献は限定的だ。いや、限定されているといったほうがいいかもしれない。

他の軍事立国の過ちを繰り返さず自立した国防を

日本が脱アメリカを果たして自立した国家となる日は、近い将来には到来しないだろう。しかし日本の為政者の将来のビジョンに、自衛軍を持った独立国家としての日本というものが存在するのならば、アメリカの軍需産業(=経済)や日本の一部産業(三菱、富士重工川崎造船等)のみを潤す共同開発ではなく、国産兵器開発と国際市場への公開を行って国際競争に参加する計画が必要だろう。

日米安保を破棄して独立を目指す」──などと軽々しく言う人々が右左両陣営に存在するが、緻密な国家計画なくして精神的自立だけを目指して日米安保という軍事協定を破棄するという考えは成り立たない。特に左派の人間は自衛隊を廃止して、非武装中立を謳えばいいというが、アジア地域で新たな軍拡競争が起きているときに一国のみがそのような宣言をするというのは、この相互依存社会の中で鎖国を宣言するに等しい暴挙である。より現実的な自立へのアプローチは、国産兵器開発と国際市場への参入、そのために兵器三原則を撤廃し、日本の高度な技術力によって軍事技術においてアメリカやその他の軍事先進国と肩を並べる程度の対等性を持つことである。

たとえ同盟国であれ、国防の要を共同開発という手法によって情報共有するというのは将来的にリスクが伴う。日本が真の意味で自立を目指すなら、非武装中立自衛隊廃止(左派)、あるいは安保破棄(右派)などという奇麗事は言わずに、現行体制を維持しながらも、自立した国防を行えるよう、兵器の国産化を推進することが肝要であると思う。

最終的な問題は、このアプローチによって日本が対等な軍事力と国際競争力を持ちえたときに、日本が何を為すかである。そこが、これまでの軍事立国と平和立国として自立した国防を持つ日本との分かれ道となる。歴史が繰り返されるか否かは、近視眼的な軍事力の発展ではなく、国防力の発展をどう国家の実質的な繁栄と存続に結びつけるか、その長期的かつ複眼的なビジョンを持つことにある。

要は、力を持つものがその力の使い方を間違えないことである。

(了)