GivingTreeの雑記帳 [はてな版]

seeking for my another sky─それは、この世界そのものだと気付いた

音楽:PINK FLOYD 『p.u.l.s.e』


携帯DVDプレイヤを買った途端、色々なDVDを見始めるようになった。

基本的に音楽DVDは買わない方針だったんだが、先日タワレコで大好きなPINK FLOYD(ピンク・フロイド)輸入版DVDを見つけてしまい、日本語版発売はずっと先(9月らしい)とのことだったが先行購入してしまった。もっとも、洋楽のコンサートDVDに日本語解説はいらないし、むしろ日本仕様のつくりになってないほうがよかったので納得した上での購入だった。結果?

大満足だ。


翻訳者という職業柄、俺は仕事中にはインストかクラシック又はフュージョンくらいしかかけないんだが、フロイドはなぜか歌詞が曲と一体となって耳に障らない。

基本的には和英だろうが英和だろうが、翻訳の作業中は言語野が活発に動いているので歌詞つきの音楽はご法度なんだが、フロイドだけはなぜか例外的に、学生のときから平気で聴きながら作業ができる。いや、むしろより集中できるといってもいいかもしれない。だがフロイドのDVDはずっと手に入らなくて、長年のファンにも関わらず学生の頃に買った唯一のフロイド映画作品



を8mmにダビングしたものしか持っていなかった。
それだけに、10数年ぶりのフロイドとの邂逅は感慨深いものだった。

大学の卒業間際に『Division Bell(対)』(94年)を聴いて以来、実に10年以上フロイドを聴いてなかった。『p.u.l.s.e(驚異)』は卒業後にまず現地アメリカを皮切りに開始されたワールド・ツアーだったのだが、卒業を半年早めて就活に勤しんでいた俺はその千載一遇のチャンスを逃してしまった。

当時はMTVでさえフロイドのプロモを見れることなど稀だったのに、このDVDにはボーナス映像でそうしたクリップがいくつも入っていて、まさに感動の一枚。DVDだから5.1chサラウンドで迫力のある、フロイドの重厚なサウンドが存分に愉しめる。

『Delicate Sound of Thunder(光)』のときの映像がそのまま90年代にタイムスリップした感じだが、新たに『Division Bell(対)』の中から俺の好きな「High Hopes(運命の鐘)」が入っていたことにあらためて感激した。この曲は、いまレバノンのアラブ人殺害について抗議している、学生の頃に知り合ったシリア人の友人が大好きだった曲で、平和希求という願いを“High Hopes”(叶わぬ想い)と表現するしかないという、切実な想いが謳われている曲だ。少なくとも俺は、そう感じた。本当の意味は定かではない。歌に込められた意味を想像して勝手に解釈するのも、音楽という娯楽を愉しむものに与えられた特権だよな。

同じく『Division Bell(対)』に収録された「A Great Day For Freedom」(歌詞サビ部分─要RealPlayer)のという、ベルリンの壁の崩壊と欧州の真の解放を歌った曲は、解放直後から解放後の生活の荒廃ぶりまでを綴ったまるで欧州発展の歴史そのもの。こんな重いテーマを、同じく重い音楽にして伝えることのできるのは、フロイドくらいのものだろう。

嗚呼、また聴きたくなってきた・・。(ここで視聴可

(了)