GivingTreeの雑記帳 [はてな版]

seeking for my another sky─それは、この世界そのものだと気付いた

言霊:親からの自立(巣立ち)とは

巣立ちや自立ってのは
言葉ほど奇麗事じゃなか

自立ってのは
親の顔に泥ば
浴びせることたい

そんくらい力強く巣ば蹴らんと
空を飛べんとよ


主人公・伊吹伸介の母親タエ
自分の死が間近であることを悟って最愛の息子に伝えた言葉
週刊モーニング連載青春の門 筑豊編』
2006年5月4日号(No.21)より


自立することは、確かに奇麗事じゃない。
親の反対を押し切って突っ走ること。それはただの反発。
しかし親の反対を押し切って何かをやり遂げること。
それを自立というのだろう。

自立は一日にして成らず。

親元を離れた途端に自立したことになるわけではない。
親元を離れ、地に足をつけて自分の道を歩み、目標を定め
それをやり遂げる─そこで初めて「自立した」と言える。

俺は高校の頃に母親の大反対を押し切ってアメリカに留学した。
でも高校での成績はふるわず、俺は高校の段階では親に自分の
自立した姿を見せることはできなかった。まあ、学生だし、まだ
子どもなのだから当然といえは当然かもしれない。だがその後、
現地の私立大学に進学しても、しばらく俺は親を安心させることが
できなかった。俺が親を安心させたのは、きっと俺がその大学を
卒業した瞬間─卒業式の場だった。

昨日、実家の倉庫を漁っていたら、そのときの卒業式典の記念
パンフレットが出てきた。俺も実はコピーを持っている。この
パンフレットは、親が持ち帰ったコピーだ。そのパンフレットに
全卒業生の名簿が載っている。俺は名簿をあらためて探してみた。

あった、自分の名前が。

俺が親を安心させたのは、まさにこの瞬間。

卒業生名簿の中に俺の名前を見た瞬間だったのではないだろうか。
俺の自立は、卒業とともに始まったからだ。

俺の本当の巣立ちが始まったのは、社会人になってしばらく経ってからだった。