GivingTreeの雑記帳 [はてな版]

seeking for my another sky─それは、この世界そのものだと気付いた

アニメ:岸辺のふたり(FATHER AND DAUGHTER)─2000年


『第2日本テレビ』という民放のブロードバンド放送という意欲的な試みの中で、スタジオジブリ推薦の珠玉のアニメ作品に出逢った。いまも、バックでそのあまりにも気に入ってしまった音楽だけを聴きながらこれを書いている(これ勝手に録音したりしてはいけないのだろうか)。

製作はオランダとイギリスのアニメ製作会社で、収録時間はわずか8分

その8分間の中に、これだけのいいようのない感情の起伏を巻き起こすアニメ作品には、久しぶりに出逢った。推薦しているスタジオジブリでも、以下のように物議をかもしたようだが、たしかにこれは考えさせる作品だ。感覚としては、シェル・シルバースタイン(Shel Silverstein)の『大きな木』(原題:The Giving Tree)という童話作品(俺のIDの由来でもある)のエンディングを読んだときに通じる感情が沸き上がる。それは、

主人公は本当にこれでハッピーなのか

ということ。

なにしろ主人公は、小さい頃に自分の父親に置き去りにされてから、その一生を父親を待ち続けることで過ごす。そんな主人公が、年老いてもずっとある場所で父親の帰り(迎え)を待ち続け、そしてあのような結末を迎えるようになるとは・・・。なにかこう、言葉にできないものが沸き上がる。それが怒りなのか、哀しみなのか、安堵なのか、共感なのか、自分でもよくわからない。少なくとも「喜び」ではなかったが、「後味が悪い」という言葉を良い意味で塗り替えるような作品だと思う。

いまは無料で放送中。ぜひ一度観てみてほしい。



以下、『第2日本テレビ』の「作品の詳細」より
スタジオジブリで上映された際に、そのラストについて、さまざまな解釈を生んだ感動の問題作。マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督は僅か8分間の短編作品を通して、私たちの感性に戦いを挑んでくる。観終わって、きっと涙しているあなたにとって、これは本当にハッピーエンドですか?宮崎駿監督をして涙を浮かべながら「こういうのを作った人は、なかなか次の作品を作れないだろう」といわしめたオランダ生まれの珠玉のアニメーションを、スタジオジブリからあなたへ。

監督:Michael Dodok de Wit(イギリス・オランダ)

2001年米国アカデミー賞短編アニメーション
2001年英国アカデミー賞短編アニメーション賞
2001年オタワ(カナダ)国際映画祭観客賞、他多数受賞