GivingTreeの雑記帳 [はてな版]

seeking for my another sky─それは、この世界そのものだと気付いた

平和:(語録)NHKプロジェクトJAPANゲスト語録(1)

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ブトロス・ガリ国連事務総長

「国連が新たに生まれ変われると思ったのは私の幻想でした」

「私は誤りを犯しました。原因の1つは、国際社会にはまだそれを受け入れる準備ができていなかったことです。超大国であるアメリカも、まだ十分な準備ができていませんでした。アメリカの当時の大統領、父親のブッシュ大統領は、国連改革が必要だと当時演説していたのですが、現実はそうはうまくいかなかったのです」

Q「結局それが十分でなかったのは、スーパーパワーの思惑ですか」

「これは『国家の主権』という概念と関係があると思います。国家の主権のうち最も重要なものは軍隊であり、これが『国家の主権』を象徴するものなのです。たとえ千人でも、自分の国の兵士が国際機関の傭兵のような立場に於かれることは受け入れられなかったのです。ですから結局、すべての加盟国が反対することになってしまったのです」

「これはある意味で、世界を覆う『文化』の問題です。文化の体系が、未だ依然としてナショナリズムに縛られているため、自分の国の歴史や言語、自分たちの栄光にしか関心を示さないのです」

「たとえば、多くの人々は、イタリアやドイツのどこかでテレビを通じてガザで起きた大量虐殺を見たとき、どう反応るでしょうか。『そんな問題には関わりたくない。自分の村で、自分の国で、安全に暮らせればそれでいいんだから、そんな野蛮な人たちと関わるのはやめてくれ』と言うわけです。グローバル化が進むと逆に内向きになり、日本や中国で何が起こっているかなどどうでもいいという気持ちが強くなるのです。しかし、現代はそうはいきません。『それはボクの問題じゃない。あっちはあっちで解決すればいい』などと言ってられないのです。世界のどこかで起こったことは、確実に自国にも影響を及ぼす可能性があります。私達はもはや、みんなで助け合わなければ、自分達だけで問題を解決することはできないのです」

Q「日本に求められている役割は何だとお考えですか」

「国際問題にもっともっと強い関心を持っていただきたい」

Q「それは自衛隊のことですか。自衛隊も含めたことですか」

「海外派遣に反対する意見がある場合は、まず世論の支持のないまま強引に決定しても機能しません。それが1つ目です。次に指摘すべきことは、最近は、ただ駐留しているだけの平和維持軍の派遣などないということです。最近の平和維持軍は、避難民の保護、復興活動など、様々な任務に当たり、武力行使の可能性は十分にあります。以前のような活動ではなくなっているのです」

「国際問題への関与は、軍の駐留に限りません。軍の駐留よりも、外交活動のほうがむしろ重要な場合が多いのです」

「私は法によって、国際法によってのみ、様々な問題を解決し、平和を構築できると信じています」

「過去数千年に渡って我々が国家の手段として用いてきたものを手放すには、相当な年月が必要です。これまで兵士は英雄であり、戦争にはとても重要な意味がありました。平和が戦争に取って代わるほどの変革を起こすには、何年もかけて教育を行い、『平和の文化』を築かなければいけません」
(NHK吹き替えより)