言霊:(1)紛争解決人、子どもたちと考える【特別転載】
紛争解決人、子どもたちと考える
~ 『課外授業 ようこそ先輩』 より (1) ~
原発もそうですが、 世の中には、争いごとが絶えませんね。 先日書いた、「有機栽培と自然栽培」なんて、どちらもすばらしいのに 時に互いを敵視しあうこともあります。 小競り合いなどで終わる分にはいいですが、 中東のように、もう何十年も戦い続け、どちらがどうなのか、原因も なにも複雑に絡みすぎて、解きようのないような重い紛争も ありますね。 日本人で、その紛争の中に飛び込み、話し合いで双方を納得させ 解決にむかわせる、そんなすごい方がいらっしゃいます。 伊勢崎 賢治さんとおっしゃり、 東京外国語大学の教授をされておられ、 アフガニスタンの旧国軍の武装解除に貢献した『紛争解決人』 として知られています。 その伊勢崎先生が、 NHKの「課外授業 ようこそ先輩」という番組(※)で、ご自身の母校を訪れ、 そこで子供たちと課外授業を行いました。 伊勢崎先生は、授業の中で、争いというものが大きく膨らんでいく ことを、疑似体験させます。 それは、見ていて、ハラハラドキドキ、非常に緊張するものでした。 わたしたちが、どんなふうに戦争へと道を開いてしまうのか、 それを数時間のうちに、子供たちによって見せてもらった、 そんな気もいたしました。※10月初旬に放映され、今のところ再放送の予定はありません。
もっと早くにお知らせすればよかったのですが、 わたしが知ったときは、すでに終わっていて、たまたま再放送の日に NHKのHPで見つけたのでした。 概略を書いてみます。 ~~~~~~~~~~~~~ 伊勢崎先生は、まず、 自分の国「伊勢崎国」と、そのクラス全員で構成される国「6年2組国」 がある、と説明します。 2つの国は、お隣同士。 玉川上水と五日市街道を、両国で共有しています。 6年2組国は、玉川上水の上流側にあり、国会があり、武器をもって いません。 一方、伊勢崎国は、その下流にあって、伊勢崎大統領が統治する 兵器を持つ国です。 さらに、3つ目の国「東京国」があり、2つの国は五日市街道を 使って東京国と交易することで栄えています。 6年2組国は、まず早速、国会を開いて、国の名前を「平和国」と しました。 武器を持っていない、話し合いで物事を進めていく平和な国 という思いがあったのでしょうね(^^) 大統領も生徒の一人から選出され、生徒たちもワクワクして このロールプレイゲームのような授業に臨みます。 さて、ここで問題が起きます。 ある年、その平和国で、旱魃があり、 深刻な水不足に悩む国民のため、議会では玉川上水の水門 (伊勢崎国との国境にあります)を閉じることを決めました。 平和国の国民は助かりますが、 水門を閉じられた下流の伊勢崎国が、今度は非常に困ります。 平和国のこの行動に対して、伊勢崎国は五日市街道の封鎖を 実行します。 街道を封鎖された平和国は、東京国への交易ができなくなりますので、 経済が行き詰ってしまいます。 平和国側が対応策を検討しているうち、さらに伊勢崎国は、 武器(大砲や戦車)を国境沿いに配備します。 両国に緊張の走るこの状況で、平和国はどうするでしょうか。 国会が開かれ、話し合いが行われ、「武器を持つかどうか」について 評決がとられます。 国会に提出された「武器所有法案」は、可決するには20人以上の 票が必要という設定になっています。(2)へつづく