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言霊:(3)紛争解決人、子どもたちと考える【特別転載】

【特別転載】課外授業で子どもたちが学ぶ戦争の真理(詳細編)3




          紛争解決人、子どもたちと考える
             ~ 『課外授業 ようこそ先輩』 より (3) ~

  紛争解決人、伊勢崎 賢治教授は、母校(小学校)で子供たちに
  課外授業を行いました。


  (あらすじ)
  生徒たちの国『平和国』と、伊勢崎教授の治める『伊勢崎国』。
  両国にまたがる玉川上水(川)と、五日市街道(道路)は、各々に
  とって重要な資源です。

  ある年、平和国が旱魃に見舞われ、国境にある水門を閉じたため、
  それに対し、下流にある伊勢崎国は、五日市街道を封鎖、
  さらに国境沿いに軍を配備し、威嚇してきます。

  兵器を持たない「平和国」でありましたが、武器をこちらも持たなければ
  という提案があり、
  国会に「武器所有法案」が提出されました。
  可決するには3分の2(20人)以上の票が必要です。

  第一回目の投票は、武器賛成5、反対24。
  まずは、現状維持でしたが、ある日、何者かに水門を破壊され、
  原因究明のため、両国が話し合うことになりましたが、伊勢崎国は
  その話し合いに派遣された平和国議員を誘拐します。

  にわかに平和国に緊張が走ります。

  人質をとられ、武器で威嚇され、
  「武器をやっぱりもたいと守れない」
  「持っていても使わなければいい。持つだけでいい。」といった
  意見が強く押し出され、
  第二回目の投票では、武器賛成16、反対13にひっくり返りました。

  武装国家へと進みそうな平和国。
  じわじわと軍国少年ができていく様を、テレビは映していきます。

  ここで、賛成派と反対派にわかれて、各々相手を説得するキャッチ
  フレーズをつくって、それを交互に発表していきます。

「これ以上 犠牲を出したくない」
「One for All , All for one」
「武器がなければ、この国を守れない」
「武器があって、何の徳があるの? なんにもない」
「伊勢崎国は武器を持っている、今立ち上がらないとみんな死ぬ」
「人を平気で殺せるのか」
「武器を持たざるを得ない状況なのだ」
「愛で守る。守れる。」

  両者はゆずりませんが、
  賛成派に「どうやって守るんだ」と問い詰められた反対派の答えは、
  「愛で守る」
  「とにかく武器をもったらおしまいだ」
  といった、ある意味ふわふわした説得力のない言葉での応戦になり、
  もう本当にドキドキしました。

  さて、いよいよ第三回目、最後の投票になりました。
  目をつぶって、賛成と反対の札を上げます。
  結果は、

賛成(武器を持つ)15人
反対(武器を持たない)14人

  賛成派多数のままでしたが、20人に満たなかったため、
  武器所有法案は否決されました。

・・・・・・・・・・・・・・・

  戦争ロールプレイはここで終わりました。

  第2回目の投票から、3回目で、一人だけ、賛成⇒反対に
  転じた子がいました。

  伊勢崎さんは、その子を賞賛しました。
  多数の中にいて、「自分の意見が違っていた」ことに気づき、
  それを行動に移すこと、とても勇気の要ることです。

  彼女は、「人を平気で殺せるのか?」
  というキャッチフレーズをみて、気持ちを変えたのでした。

・・・・・・・・・・・・・・・

  伊勢崎さんは、賛成派反対派、両方の意見をみながら、
  どちらか一方だけが正しい、正義だ、ということはない、ということを
  子供たちに説明します。

  多数決は、必ずしも正義を代表していないのだ、
  ただ数が多いだけだ、ということ。

  多数派に反対する人は、とんでもないやつらだ、おかしい、
  そうはならないでほしい、ということ。

  子供たちの目は真剣でした。

・・・・・・・・・・・・・・・

最後に、伊勢崎国の行動について、先生は弁明します。

五日市街道封鎖「水路を止められた伊勢崎国は、水がなくなった。水がないことはすなわち死を意味する。国民には不安が広がる。だからこそ、道路封鎖もしたし、武器で威嚇もしたのだ」
人質誘拐「話し合いの場を作ったとき、国の状態はもう切迫していた。だからやむを得ず誘拐し、その人質の議員さんたちに、国の現状をしっかり見てほしかった」

子供たちは、伊勢崎国には伊勢崎国の正義があるということを
知ります。国民を守るためにやった行動です。

武器を持つべきだと答えた子供たちは、伊勢崎国の武器威嚇へと走る
気持ちが、より自分の体験としてわかったと思います。


では、どうすればよかったのか?
 
「水門をとめなければよかった」
「道路閉鎖の前に、水門について話し合えばよかった」

子供たちの言葉の後、伊勢崎さんはこのような言葉で締めくくりました。

「武器で威嚇したり、人質を取ったりする「伊勢崎国」のことをたぶんみんなは、怪物のように見えたと思う。知らないということは恐怖につながる。自分と異なる文化や思想を持つものを理解しようとすること、これが大切。自分から見えていることと相手が見ているものとは違うということ、それを知ろう」

  ロールプレイは、戦争という大きなテーマではありましたが、
  結論から導き出されたものは、
  日ごろの私たちの生活の中でも通じること、ですね。

  わたしたちは、みな一人ひとり違います。

  顔も価値観も能力も何もかも。

  そして、そのどちらかが善でどちらかが悪ということもありません。

  今日おきる一人ひとりの小さなやりとりが
  戦争にも、そして平和で楽しい世界へもつながっています。


  武器反対派のキャッチフレーズにありました、

     「愛で守る。守れる。」

  日月地神示にもあるように、
  愛する、ということは、相手を理解しようとすることです。

  まさに、愛(互いに理解しあうこと)で、
  国も、平和も守れる、、のですね♪



出典:メルマガ『シンクロの種☆なないろの風』2009/11/07号
著・いのうえはるこさん
編・GivingTree