GivingTreeの雑記帳 [はてな版]

seeking for my another sky─それは、この世界そのものだと気付いた

言霊:冷戦の詞(コトバ)の遺産

滅亡に抗う魂の詞

There's no such thing as a winnable war
It's a lie that we don't believe anymore

勝てる戦争などありはしない
もうそんな嘘には騙されない

from "Russians" by Sting
訳:GivingTree

冷戦という時代、80年代にスティングが書き上げた反戦歌の一節

冷戦から熱戦を避けることに人類は成功したのに、熱戦を望んで
抑止力としての核武装を考えている人たちがいる。その人たちは
この歌を知らない。この歌が作られた時代を知らない。

戦争を知らない子どもたち

俺たちはそう呼ばれる世代だった。
だが、俺たちは新しい形の戦争を知った。
冷戦という、限定された紛争の世界。
超大国同士による代理戦争の世界。

相互確証破壊(Mutual Assured Destruction=MAD)という、文字通り
狂気の目標のもと、米ソという二大超大国は、互いの核戦力はおろか
通常戦力も、戦意すらすべて奪ってしまえるほどの数の核兵器を蓄えた。
戦意すらすべて奪われるのはなぜか━両者が地球上から消滅するからだ。

この愚かな均衡点に達すれば、両者が核を使わなくなると言われていた。

この曲が生まれた時代を生きたことのない人たちは、
冷戦を知らない。イデオロギーの対立を知らない。
世界が真っ二つに分かれていたこと知らない。

彼らは、「冷戦を知らない子どもたち」

いつの日か、彼らも自分の子どもたちを

「○○を知らない子どもたち」

と呼ぶようになるのだろうか。

今がそういう時代にならないことを切に願う。