GivingTreeの雑記帳 [はてな版]

seeking for my another sky─それは、この世界そのものだと気付いた

外交:(前編)靖国が内包する日本のアジア戦略問題

小泉政権になってから長く、靖国問題は議論されてきた。世論は真っ二つというほどではなくても、専門家の間では小泉首相靖国神社参拝をあくまで内政問題として捉える派と、アジア外交への影響を無視してはならないとする外交問題派との間で賛否両論が交わされてた。しかし、

靖国問題の本質は一体どこにあるのだろうか。


その本質は、内政か外交かという二者択一の問題なのだろうか。
それともまったく別の次元にあることが、本来は問題視されるべきなのだろうか。

ここで、要点となる事実を主要プレイヤーごとに整理してみる。
(A)靖国神社は:

1. 宗教法人である=国家施設ではない。
2. 大戦を美化している=国家施設ではないが独自に美化している。
3. 遺族の意志に関係なく、合祀したりしなかったりを選択している。
4. 東京裁判の判決を否定しており、その思想を根幹に据えている。

(B)小泉首相は:

1. 行政の長、総理大臣であり、常に公僕であり公人である=私人たりえない。
2. 大戦を美化してはいないし反省の意を諸被害国にアピールしている。
3. 靖国参拝を「心の問題」とし、外交問題としての位置づけを内政干渉と考える。
4. 靖国参拝は私人として行っており、A級戦犯ではなくその他の英霊に対して行っているのであり公人としては靖国の考えを認めていない。

(C)中国は:

1. 責任分離論に基づき戦争責任は国民ではなく軍指導部にあると見ている。
2. 公人たる国家を代表する首脳がA級戦犯の合祀されている神社を(日付に関係なく)参拝することを問題視し、反発している。
3. 首相による参拝さえなくなれば、首脳会談は可能だと表明している。
4. 靖国問題さえなければ、政冷経熱の事態の解消は可能だと表明している。

(D)国内世論は:

1. 外交重視と内政干渉論に二分されている。
2. 内政干渉であることを割り引いても大多数が靖国参拝を支持していない。
3. 内政干渉を重視すると、参拝が圧倒的に支持される傾向にある。
4. 外交を重視すると、参拝については慎重論が増える傾向にある。

(A)靖国に関連する事実をひとまとめに整理してみる。

靖国は:
東京裁判の判決を否定して大戦を美化しつつ、遺族の意志に関係なく合祀を決行する独立宗教法人である。

(B)小泉首相に関連する事実ひとまとめに整理してみる。

小泉首相は:
公人としては大戦を美化していないことを諸外国にアピールしているが、私人としてはA級戦犯が合祀されている特定の宗教法人に参拝し、この行動に対する批判を「心の問題」に対する干渉であると考える日本国の総理大臣である。

(C)中国に関連する事実をひとまとめに整理してみる。

中国は:
戦争責任は国民ではなく軍指導部にあると見ているが、公人たる国家首脳がA級戦犯の合祀されている神社を参拝することを問題視し、反発している。首相による参拝さえなくなれば、首脳会談も可能だし、政冷経熱の事態の解消は可能だと表明している。

(C)国内世論に関連する事実をひとまとめに整理してみる。

国内世論は:
外交重視と内政干渉論に二分されているが、外交を重視すると慎重論が増え、内政干渉を重視すると参拝が支持される傾向にある。だが内政干渉であることを割り引いても、大多数は靖国参拝を支持していない。

多分にバイアスの入った“事実論”だが、最近の報道をとりまとめてみると大体こんな感じになると思う。この4大プレイヤーの認識が噛み合っていない点は何か、それがこの問題の本質だと思えるのだが、果たしてそれは何だろうか?

(続く)