詩:正しい戦争など、ありはしない(2006.09.18)
「正しい戦争など、ありはしない」
戦争は、それぞれの正義を掲げて戦われるもの。 自衛の為の戦争は、必然によって行われるもの。 いずれも、それぞれの理屈において正しいだけで そのものが正しい行いであるわけではない。 戦争は、それぞれの信じる価値において その価値を守り通す為に戦われるもの。 戦争とは、価値の衝突であり、信条の衝突。 いずれも、それぞれの理屈において勝手なだけで そのものが間違った行為であるわけではない。 「正しい戦争など、ありはしない」と現代の人は言う。 「正しいから戦争を戦った」と先代の人は言う。 「正しくないから、負けた」と現代の人は言う。 「正しかったが、力不足だった」と先代の人は言う。 過去と現在においても、それぞれが論ずる「正しさ」は異なる。 現在においても、それぞれが論ずる「正しさ」は異なる。 「正しさ」は相対的に論じられ、絶対的なものではない。 したがって、正しい戦争など、ありはしない。 したがって、間違った戦争も、ありはしない。 それぞれの戦争が存在するのは、五分五分の確率。 人の数だけ、その人固有の戦争が存在する。 その人固有の「正義」が存在し。 その人固有の「悪」が存在する。 正しい戦争など、ありはしない。 人が為す事である限り、物事の正誤を決めることは 「結果」という歴史的な審判にしかできない。 正しいと信じた行為が、敗戦という結果を生み いまの日本を作り上げたのなら 日本の戦争は、俺個人にとっては正しかったのかもしれない。 だが万人にとって、正しい戦争などありはしない。
inspired by 『僕たちの戦争』(TBS)