GivingTreeの雑記帳 [はてな版]

seeking for my another sky─それは、この世界そのものだと気付いた

法治:米ブッシュ政権における文民支配の暴走

文民統制(シビリアン・コントロール)という言葉は、民主主義政体の1つの前提条件として捉えられる。その実用面での意味は、文民によって軍部を抑制するために、軍の指揮系統の監視役として文民が政府より送り込まれることで、つまり軍部の独走を抑制するために文民が軍部を監視する機能が働いている状態「シビリアン・コントロールが機能している」という。歴史的に、米国は文民統制が発達している国と見られており、その徹底度は各国軍隊が見習うほどのもので我が国の自衛隊も例外ではなかった。ところが今月の11日にワシントンタイムズが伝えたところによると、その徹底された文民統制の弊害が現れてきているらしい。すなわち、文民自体が、密やかに暴走し始めているというのだ。

先日転載した2006年軍事委員会設置法(正確には改正軍事裁判所設置法)の欠陥を指摘する同紙の記事に続き、同じ著者のNat Henthoff氏が、『"Seeking Justice"(法の正義を希求する者たち)』という題名で、同じ論調で、厳格な法治国家である合衆国から法治の概念が消え去ろうとしていることに警鐘を鳴らしている。

法の正義を希求するJAG将校たち(前書き)

最近まで日本国内でも放送されていたある海外ドラマがある。最近はすっかり韓流に傾いているNHKなどの主流局では流されなかったが、テレビ東京ではこのドラマの全話が放送された。米CBSテレビ製作の『JAG』という番組で、邦題は『犯罪捜査官ネイビーファイル』。見覚えのある人もいるだろう。米海軍に所属する軍法担当者の物語で、米軍における朝鮮戦争の解釈など、米軍の仕組みや成り立ち、実態を理解するのに役立つ有用な番組だった。このJAGとはJudge Advocate Generalを指し、軍法捜査局を意味すると思われるが定訳はない。専門用語辞書によると、JAGの意味は「軍法会議にかける事件を調査・起訴・弁護する軍隊の法務団体」らしい。

さて、ドラマの『JAG』の中では、若い魅力的な将校たちが活躍し、数々の事件の展開を通して米軍において正義がどのように守られているかが描き出されている。アメリカン・ドラマだし、しかも軍事ものだから、そこで描かれているヒーロー図はあくまでヒーロー図に過ぎない─と、このワシトンタイムズの記事を読むまでは割り引いて考えていた。だがこの記事には、実際のJAGたちが、ブッシュ政権下でどのように正義を希求し続けてきたが克明に描き出されていた。記事に述べられているのは真実のストーリーなのである。これは、一読の価値があると思うので、以下のとおり全訳してみた。