コラム:(上)日本の採るべき選択は二者択一なのか
テロ特措法をめぐって、国が割れている。国会だけでなく、メディアも、有識者も、一般市民も、それぞれ立場が割れている。そして文字通り、主張は二通りに割れており、継続するかしないか、しないならどうするのか、しない場合の悪影響は、しないことのメリットは、と国益重視の「国際貢献論」が様々なチャンネルで叫ばれている。
そう、猫も杓子も「国益」重視である。
その、便利で安上がりで感謝もされてシーレーンも守れるけれども戦争行為には関わらないで済む手間のかからないマルチメリットな「貢献」とやらが、実際の対象となる国(アフガニスタン)に対してじゃあどのような恩恵をもたらすのか、という視点がない。
などなど、そういった「貢献」の対象国のニーズ・ベースでの視点での議論を欠いたまま、国益や貢献が叫ばれている。結局、欺瞞の数だけ、その裏の事実がある。
政治や外交力を駆使して「感謝」の言葉を言わせれば、それが国際社会の利益になっているからだと言い張る欺瞞。これでよいのか。
非常に、危険な様相だ。まるで国そのものが思考停止してしまったかのようだ。
その危険な様相に、火に油を注ぐかのような主張が加えられた。民主党・小沢代表のISAF(国際治安支援部隊)参加論だ。国連決議の担保のない違憲な活動を続けるよりは、国連の授権のあるISAF=という多国籍軍に加わればよいではないか、という論法だ。これは小沢代表に言わせると、国連授権の集団安全保障上の軍事的行動は、たとえそれが明確な武力行使の伴う行為であっても、国権の発動ではないので合憲であるから、ということらしい。
この考え方に問題はないのか。
(つづく)