外交:北は必ずしも軍事的脅威ではない(メモ)
心理的脅威と軍事的脅威は違う。
北が日本国民にとって心理的脅威となっている背景には、拉致から始まった民放各社によるワイドショー的な報道による影響が大きいだろう。連日、北はこういう国だ、異常な国だ、犯罪国家だ、女性はこうだ、子供はこうだ、と断片的な情報をもとに国家をステレオタイプ化して悪魔化しているのだから無理もないだろう。連日そのような報道にさらされれば、自らの子供の安全などを考えて北に対して無条件に敵愾心を持つ母親や家族が増えていくのも致し方のないことだ。事実と推測をないまぜにしてこうした情報の爆撃を毎日食らっていたら、正常な判断力を失い最終的には漠然的に「脅威」を感じるようになるだろう。
一方、北が軍事的脅威となりえる一つのファクターを挙げるとすれば、それは軍部の統制の問題だ。軍が国家指導部と袂を分かつようなことがあれば、軍は暴走しかねない。その中で、“将軍様”よりもタチの悪い人間が軍を指揮する立場にあったりしたら、核の使用も狂気の選択のうちに入るかもしれない。これは、日本だけでなく6カ国協議に参加するすべての参加国が懸念すべきことだろう。
だが実際の軍事力でいえば、老朽化する中露の装備を使っている北朝鮮軍は脅威に当たらない。命中精度の低い見せかけの最新鋭ミサイルもそうだが、北の装備は頭数が揃っているだけでそれ一つ一つの精度や兵器としての実用性はまだまだ低い。MDが完成しなくても、十分に対応できるレベルだし、事実今回は早期警戒の段階で正確な情報があったからこそ、「武力事態」との認定をするまでもなく迅速に政府へ対応の協議を促すことができたわけだ。
心理的脅威と実質的脅威を混同してはならない。
それはその「脅威」を操る内外の敵の術中に陥ることを意味する。