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検証:米大統領が米国の国際刑事裁判所「復帰」を命じる大統領令を発したという情報の真偽(検証Ⅰ)

オバマ大統領が国際刑事裁判所復帰を命じる大統領令に署名した事実はない

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Ⅰ.ソース内容の検証

オバマ大統領が国際刑事裁判所復帰を命じる大統領令に署名した事実はない」という結論を導かせるに至った"Veterans Today"(以下、VT)の記事の内容は、何者かによっていちやはやく仮訳されている。「何者」といっても、一種の機械翻訳なのだろう。各国の有志が集まって簡単なGoogle翻訳などを元に仮訳を作り、掲載するサイトらしい。しかし、労作なのだろうけれどもこのお粗末な内容のままそれを事実だと解釈されては、流石に原本著者が哀れなので、以下改訳した上でその内容の問題点を適宜指摘する。

仮訳:VT記事の改訳

オバマ国際刑事裁判所への復帰を決める
ならず者国家」を脱却するアメリ

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アメリカに正義を?オバマは本気なのか?

アメリカが他に強制する法により、アメリカの戦争犯罪人が裁かれる

オバマ大統領が、国際刑事裁判所ICC)に再復帰("rejoin")する大統領令に署名するという驚くべき行動に出た。この機構は米国が創設したもので、国際法の執行と戦争犯罪の処罰化を目的としている(1)

アメリカは、ブッシュ政権時代にICCを離脱した。誘拐や麻薬密売、拷問を行った者を保護するためだ(2)

今後、これらの者は逮捕される可能性がある。その対象は、連邦議員、軍人やCIAの人間にまで及び、これら殆どの人間がそのような犯罪に手を染めていると思われている点で奇妙な一致をみている。

興味深いのは、訴追されるであろう者の殆どが共和党員であり、アメリカ国内では(市民の)権利が失われてゆくなかで、アメリカの外では自由と公正を訴えをている人間らだということだ。

これらの者は、これまでカダフィやサダムら“戦争犯罪人”に適用されてきた、アメリカが公正と考え執行してきたその同じ法によって逮捕されることになる。

私がこれまで読んだ文書のなかでも最もトリッキーな部類に入るこの文書を注意深く読むと、現職の連邦議員は逮捕を免れることになっている。軍人の保護に関する箇所は、さらに難解に書かれていて、全く不明瞭だ。

この文書により、オバマ自身にもリスクは生じる。だが、それはアッシュクロフト、ゴンザレス、マケイン、リーバーマン、ブッシュ親子、そしてチェイニーやその他の数千人に及ぶ戦争犯罪人らが抱えるリスクの比ではない。

ICCがどの程度の意思をもって関与するかは、疑問の余地がある。この組織は、皮膚の黒い人間や、アメリカの外交政策の障害となるものみを逮捕する傾向にあるからである(3)。

しかしそれも変わるかも知れない。戦争犯罪の疑いの高い旧体制側の人間を殆ど、そして最終的にはすべて一掃するであろう『アラブの春』やヨーロッパの選挙がもたらす変化によって。

インターポールがマケインとリーバーマンに手錠をかけ、上院から連れ出すその瞬間、我々はアメリカが我々の手に戻ったことを実感するだろう。

原本著者: Gordon Duff, Senior Editor, Veterans Today
初期翻訳: Despertando.me
改訳: GivingTree 

訳注:
(1)事実誤認。アメリカはICCを設立するローマ規程の起草の初期段階には深く関わっていたが、その早い段階(1998年)に協議を離脱しその後は2010年の再検討会議まで正式参加していない。
(2)表現に若干難がある。アメリカは2000年12月31日にクリントン政権がローマ規程に署名したが、当時のクリントン大統領の勧告に基づき2002年5月にこの署名を撤回する書簡を送付している(だたし、受理されていない)。これを単に"left"(離脱)としてよいのか疑問。また後半の「保護するため」という部分は、著者の主観でしかない。
(3)事実誤認。ICCはその案件の多くを加盟国や周辺国の付託によって行っており、それがアフリカ周辺諸国に集中しているだけのこと。アメリカの政策に呼応して国連安保理でこれまで案件が付託されたのはスーダンとリビアの2件のみICCは少なくとも7件の案件を抱えており、その実数としてもこれは少数に属する。またアメリカ単独で非締約国としてICCに案件を付託したことは一切ない。


以上で記事本文の内容についての検証を終える。
問題の大統領令についての検証は次の「検証Ⅱ」で述べる。

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